高齢者医療の現場で看護師として働いていた私は、当時の医療に限界と矛盾を感じていました。
「この治療は、本当にご本人が望んでいるのだろうか・・・何のために?・・誰のために?・・・」
亡くなる瞬間まで継続され続ける治療を前に、様々な葛藤がありました。
そんな時、看護学生が認知症のある患者さんにマニキュアを塗ると、それまで全く表情のなかった患者さんに笑顔が戻りました。
それは、患者ではなく、一人の女性としての表情でした。
その出来事をきっかけに、“ケアとしての美容”に興味を持ち、学びと実践を積んできました。
お一人お一人の話を聞き、肌に触れ、共に鏡を見ながら その方らしい外見に整えていく時間は、病気や障害があっても、ご高齢であっても、本来の自分らしさを思い出す大切な時間です。
美容や整容の持つ心理的・社会的・生理的な効果、そして その方の個別性を理解する看護の視点を融合し包括ケアの一角を担えるように発展させたのがRings Care™️(旧 Nursing&Beauty Care)です。
どの健康レベルにある方にでもご本人の意思と価値観を尊重し、他職種・ご家族との連携を図ります。
人は必ず、何らかの社会的役割を担って生活しています。
病気や障害、加齢などを理由にその役割が果たせなくなった時でも自らの役割を思い出し、自分らしく生きる手助けができるのがケアの力です。
「キレイ」は生きる力になる。
最期の瞬間まで自分らしく輝ける社会を目指して。
2019年1月 NOTICE代表 大平 智祉緒